その日は仕事が忙しかった。夫もいなかった。
やっと作った夕食の支度が出来たのに、息子は呼んでも来ない。
たった1回しか呼んでいないのに、それで反応しなかった・・と
食事中も私の機嫌は悪かった。
私の機嫌が悪いので、息子も取り立てて会話をしてこない。
そのまま食事が終わり、息子はいつも通り自分の食器を流しに戻し
さっさと自分の部屋へ。
「明日のお弁当はどうするのか一言も言わないんだから、ご飯の準備しないからね。
だまってても勝手にご飯が出来てるなんて思わないでよ」
苛立ったままの私は、心の中でそうつぶやき、夕食後の食器も流しに置いたまま、
私も自分の部屋へ。
すると・・・
しばらくしてキッチンから、食器を洗っている音が・・
自分のお弁当箱は自分で洗うようにはしているが、
どうやら夕食後の食器も洗っている様子。
その音を聞きながら、自分の心の狭さに泣けてきた。
自分の仕事が忙しかっただけなのに・・
たった1回呼ばれたことに反応しなかっただけなのに・・
息子に八つ当たりしてしまったのに、息子は何も言わないで黙々と食器を洗っている・・
こんなやさしい息子なのに、お弁当の準備はしないなんて、
明日起きたとき、ご飯がなかったら、どんなに残念な気持ちになるかも分かっているのに、
なんて意地悪なこと考えてしまったんだろう。
親なのに・・・・・・
申し訳ないから、せめてお弁当の準備だけはしてあげよう・・
しばらくして、キッチンに戻ってみた。
ん・・まだ洗い残しの食器が数枚・・
どうやら、疲れた私をいたわっての食器洗いではなかったみたい。
お弁当箱洗いのついでに、食器受けに乗る分だけ勢いで洗った感じ?
音だけ聞いて、勝手に盛り上がって泣けた自分が笑えた。
なぁんだ、やっぱり私の息子か。
食器洗いのお礼をメモで残し、さぁ寝よ
親させてくれてありがとう